大判例

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大分地方裁判所 昭和29年(ソ)1号 決定

本件抗告の要旨は次のとおりである。申立人抗告人、相手方大嶋六郎間の大分簡易裁判所昭和二十八年(ユ)第四四号土地明渡調停事件について、同年十一月六日の調停期日に同裁判所において右事件の当事者間にその調停調書に記載の条項により合意が成立したものとし、これを調書に記載して調停が成立したものとなされた。しかしながら右期日に出頭した抗告人の代理人とされている安東誠は右条項により同事件の解決を図ることを承諾していないから未だ当事者間にその合意が成立しておらず、従つて又仮令合意の成立したものとして右条項が調書に記載されたとしても未だ同事件の調停は成立しておらない。なお右安東誠は原告抗告人、被告大嶋六郎間の同裁判所同年(ハ)第五一号土地明渡請求事件の抗告人の代理人ではあるが、右調停事件については民事調停規則第八条第二項による調停委員会の許可を受けた代理人でないからこれが抗告人の代理人としてなした同事件の調停は無効のものである。そこで抗告人は同月十八日同裁判所に対し右調停について右事由により不服を申立て調停の続開を申請したところ、同裁判所は同年十二月二十一日右事件は同年十一月六日当事者間に調停が成立して終結したとなし、抗告人の右申立を理由なしとしてこれを却下する旨決定した。しかしながら抗告人は右決定に不服であるからこれを取消し更に適当な裁判を求めるため本件抗告に及ぶというのである。

よつて接するに、先ず本件抗告の適否についてみると、民事調停法第二十一条前段によれば調停手続における裁判に対しては最高裁判所の定めるところにより即時抗告をすることができる旨規定し、民事調停規則第四条、第六条第四項、第二十一条並びに第二十六条にそれぞれ即時抗告をなしうる場合を定めている。そして右調停法第二十一条の規定は調停手続における裁判に対しては特にその旨を規定する場合を除いて即時抗告は勿論抗告その他の不服申立を許さない趣旨と解する。尤も同法第二十二条において準用する非訟事件手続法第二十条は、裁判に対し広く抗告を許しているが、その抗告期間に制限がないから裁判は長く不確定な状態におかれることになるので簡易迅速な事件の処理を建前とする調停手続上の裁判に対しては特に認める場合に限りしかも即時抗告のみを許すのを適当としたと解すべきであるからである。ところで原決定は右即時抗告をなしうる旨規定するいずれの場合にも該当しない。そうすれば抗告人の本件抗告は抗告権がないのに抗告した不適法のものであり、抗告の理由に対する判断をするまでもなく不適法としてこれを却下しなければならない。

よつて民事調停法第二十二条、非訟事件手続法第二十五条、民事訴訟法第四百十四条、第三百八十三条第一項を適用して主文のとおり決定する。

(裁判官 江崎彌 菅野啓蔵 吉田誠吾)

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